決済端末が使えなくなったとき
記載内容は時点の公開情報にもとづきます
この記事の想定読者
レジで決済端末が反応しない、またはエラーが出て決済できず、客を待たせている店舗運営者に向けた記事です。まず会計を止めずに続ける方法を示し、そのうえで端末・通信・決済ネットワークのどこが原因かを切り分けます。
まず決済を止めない
端末の復旧を待つ前に、現金と、使える別の決済手段に会計を切り替えます。原因の調査は、客を待たせない状態を作ってから始めます。
- 現金対応に切り替える
- レジ前に「カード決済が一時的に使えません。現金のみ対応中」と掲示し、口頭でも案内する
- 別の決済手段を使う
- 予備の決済端末、スマートフォンのモバイル決済アプリ、QRコード決済など、系統の違う手段に切り替える
- やってはいけないこと
- カード番号や有効期限を紙やメモアプリに書き取って後で入力する行為。カード情報を書面などで保持しないのが加盟店の原則で、加盟店規約とカード情報の取り扱いルール(PCI DSS)に反する
会計を続けられる状態にしたうえで、エラー表示の内容を控え、原因の切り分けに移ります。エラー表示の文言は端末によって異なりますが、内容としては「承認が下りない(カード会社側の判断)」「通信のタイムアウト」「カードの読み取り不良」のいずれかに整理できます。コード番号の意味は端末の取扱説明書かサポート窓口で確認します。
症状から原因の当たりをつける
原因は、端末本体・通信・決済ネットワーク側の3層に分かれます。エラー表示と、近隣の他店で決済できるかどうかで、どの層かを絞ります。
層を絞る前に、決済端末の電源を入れ直します。一時的な不具合なら再起動で戻ることがあり、数分で済みます。それでも直らなければ、症状で層を切り分けます。決済ネットワーク側とは、店舗の決済サービスとカード会社をつなぐ中継網で起きる障害です。
| 症状 | 疑う層 | その場で試すこと |
|---|---|---|
| 画面がつかない、フリーズ、電源が落ちる | 端末本体 | 電源を入れ直す。バッテリー式なら充電と電池残量を確認 |
| 「通信エラー」「サーバーに接続できません」 | 通信 | 端末とルーターの再起動、Wi-Fi/モバイル回線の状態を確認 |
| 複数のカードブランドで一斉に失敗、同じ地域の他店も不可 | 決済ネットワーク側 | 決済サービスの障害情報ページと公式SNSを確認し、続報を待つ |
| 特定のカードだけ通らない | カードまたは読み取り部 | 読み取り方法を変える、別のカードで再現するか確認 |
決済ネットワーク側の障害の場合、店側で復旧を早める手立てはありません。できるのは代替手段への切り替えと客への案内で、復旧の見込み時刻は公表されるとは限らないため、公式の続報を待ちます。
通信を確認する
通信が切れるとクレジット決済は原則として通らなくなります。確認は端末に近いところから、端末 → ルーター・回線 → 決済ネットワークの順で進めます。カード会社への承認通信を行うためで、一定額まで端末側のオフライン処理に対応する契約もありますが、対応可否は取扱説明書やサポート窓口で確認します。
- Wi-Fi・有線LAN接続の端末
- ルーターの電源を入れ直す。他の機器がインターネットにつながるかを確認する。端末をルーターに近づける
- モバイル回線(SIM)内蔵の端末
- 電波表示を確認する。圏内でも通信できないときは回線側の障害の可能性がある。回線事業者の障害情報を確認する
- スマホやタブレットとBluetooth接続する端末
- 親機(スマホ・タブレット)側の通信が生きているか、Bluetoothのペアリングが切れていないかを確認する
- 決済ネットワークの障害情報
- 契約している決済サービスの公式サイトの障害情報ページを確認する。時点でも障害の告知は各社が公表している。地域や加盟店を限定した障害は個別に問い合わせる
通信が復旧しても決済できないときは、端末側の再設定か、決済ネットワーク側の問題が残っています。
カードの読み取りだけ失敗する場合
通信は正常なのに特定のカードだけ通らないなら、端末の全体故障ではありません。読み取り部の問題か、カード側の問題かを、読み取り方法を変えて切り分けます。
- ICチップ(差し込み)
- チップの接点の汚れ、端末の挿入口のほこり。乾いた布でチップを拭き、ゆっくり差し込む
- 磁気ストライプ(スワイプ)
- ストライプの摩耗や傷。速度を変えて通す。ICチップ対応カードは磁気での決済を断られることがある
- タッチ(NFC)
- かざす位置と時間。金属製のカードケースやスマホケースが反応を妨げることがある
- カード側の問題
- 利用限度額の超過、有効期限切れ、不正検知による一時停止。別のカードで再現するかを確認する
複数の読み取り方法と複数のカードで失敗するなら、読み取り部の故障を疑い、予備機に切り替えてサポートに連絡します。
復旧後にやること・再発に備える
復旧したら、いつ何が起きて何で直ったかを記録し、次に同じことが起きたときの手順を店に残します。平時の備えが、止まる時間を短くします。
- 連絡先を1枚にまとめる
- 契約している決済サービス名、加盟店番号、障害時のサポート窓口の電話番号、障害情報ページのURLを1枚に控え、レジ横に置く。代理店やPOS会社経由の契約なら、その連絡先も併記する
- POSレジと連携している場合
- 決済端末が復旧しても、POS側が連携待ちで固まっていることがある。POSアプリの再起動と、テスト決済での疎通確認をする
- 予備機と代替手段
- 複数台運用の店舗は、入れ替え用の予備機を1台用意しておく。モバイル決済アプリは、平時に登録と動作確認だけ済ませておく
- 端末の更新
- ファームウェアの更新や、セキュリティ証明書(TLS)の期限切れで通信できなくなることがある。更新案内は放置せず適用する
障害時に誰に連絡するかは、契約している決済サービスの一次受付が自社窓口か外部委託かで、復旧までの体感時間が変わります。窓口体制の見極め方は、決済端末の入れ替え案内が届いたらの「障害時の復旧体制」で整理しています。
まとめ
決済端末が使えなくなったら、次の順で動きます。
今すぐやること
- 現金対応に切り替え、レジ前に掲示を出して客を待たせない。
- 予備の決済端末やモバイル決済アプリなど、系統の違う手段に切り替える。
- エラー表示の文言を控える。
- 決済端末とルーターを再起動する。
落ち着いてから確認すること
- 同じ地域の他店や複数ブランドでも失敗するかを確認し、決済ネットワーク側の障害かを判断する。
- 決済サービスの公式障害情報ページと公式SNSを確認する。
- 読み取り部の不良が疑わしければ、予備機に切り替えてサポートに連絡する。
- 復旧後、POS連携の再確認をして、障害の記録を残す。
カード番号を書き取って後で処理することは、どの状況でも行いません。
よくある質問
決済端末が急に使えなくなりました。まず何をすればいいですか
復旧の原因を調べる前に、現金と、使える別の決済手段に会計を切り替えます。レジ前に現金対応中の掲示を出し、客を待たせないことを優先します。エラー表示があれば内容を控え、決済端末の再起動と通信の再接続を試します。カード番号を書き取って後で処理することは規約で認められていません。
特定のカードだけ決済できません。端末の故障ですか
端末や通信が正常で、他のカードは通るなら、端末全体の故障ではなく、読み取り部かカード側の問題が考えられます。ICチップの接点の汚れ、磁気ストライプの摩耗、カード自体の利用停止や限度額超過が要因として挙げられます。読み取り方法をICチップ・磁気・タッチで変えて試し、別のカードでも再現するかを確認します。
決済ネットワークの障害かどうかは、どう調べればいいですか
契約している決済サービスの公式サイトの障害情報ページや公式SNSを確認します。同じ地域の他店でも決済できない、複数のカードブランドで一斉に失敗する場合は、店側ではなくネットワーク側の障害が疑われます。復旧の見込み時刻は公表されるとは限らず、公式の続報を待ちます。
決済端末が使えなかった時間の売上はどうなりますか
その時間に現金や他の決済手段で会計できた分は、そのまま売上として成立しています。決済端末で通らなかった取引は成立していないため、打ち直すには客に再度カードを提示してもらう必要があり、客がすでに帰っていれば後日の決済は原則できません。二重請求を避けるため、エラーになった取引が本当に未成立かを明細で確認します。